11/19 鬼ごっこ

運動遊びの種目の中でも、鬼ごっこは多くの子どもたちに人気のある種目です。が、実は、その鬼ごっこが苦手という子どもたちも逆にある一定数いるのは確かなのです。
発達障害児、特に自閉症傾向の強いお子さんに鬼ごっこが苦手な理由はいくつかあります。
まずは、ルールがわからない、難しい。鬼にタッチされて鬼が交代して・・・タッチされた人はこの場所にきて・・・など単純と思えるルールも、発達障害のあるお子さんには頭の中が混乱してしまい、理解ができないというお子さんは多いです。また、理解はできていても、鬼にタッチされないように相手の動きを見ながら、自分は走り、タッチされたら今度は自分がつかまえる側にまわるという、瞬時の判断が難しいお子さんもいます。
他にも、触覚過敏のため、体の一部に触られるのを極端に嫌うお子さんもいます。特に、背中（自分の見えない背後）を急に触られるのが苦手なお子さんが多く、どんなにソフトタッチでも、とても痛く感じてしまうような場合もあります。
さらに、「負ける」ことを極端に嫌う傾向もその理由の１つです。発達障害のあるお子さんは我慢の領域が他の子どもたちより小さいと考えてみてください。「勝つこともあるし、負けることもある」ということが、とても受け入れがたく、鬼になった時点でかんしゃくをおこしてしまうお子さんもいます。
このようにみると、子どもが大好きな鬼ごっこは、実は、相手の動きを予測して、即座に自分が反応する必要があるとても高度なことをやっているのですね。
しかし、ルールが難しいお子さんの中にも、「みんなで走り回っているだけで楽しい」という子たちも大勢いて、それこそが鬼ごっこがみんなに人気の遊びの理由です。私たちは、そのお子さんが何を苦痛に思っているのかを判断し、「まめっこルール（小さい子は鬼ごっこに混ざっているけど、決してつかまえない）」や「直接タッチをしないで、鬼を交代させる」などで、その子がみんなと楽しく鬼ごっこができるようにサポートしていきたいと思います。