日々お子様を見ていると「なんでできないのだろう?」と思うことがあります。
むしろ、その問いを持つことが私たちの仕事の原点であるともいえるのかなと思います。
「できない」から「できる」へ
私たちは子どもたちの成長をサポートする中で「できない」から「できる」までのステップを考えます。
言い換えるとスモールステップとも言えます。
そのステップを踏んでいくことで突っかかりが少なく、且つ途中で諦めずにできるようになっていきます。
この匙加減は難しいところですが、子どもの成長の過程、その日の調子、天気、環境等あらゆる情報を鑑みてステップを調整していきます。
これはパン職人が、その日の温度や湿度を見て発酵の時間を考えたり
落語家がその日のまくらでの反応を見て、お客さんに合わせたネタを考えたり
農家さんがその年の雨量や天気を見て水の量を調整したりすることに似ていると思っています。
職業は違うけれど、やっていることは似ているなあと思ったりもします。
ヴィゴツキーの最近接領域
スモールステップを踏んでいく際に大切なのがこの最近接領域という概念です。
これは「一人ではできないが誰かの助けがあればできる領域」のことです。
これは加藤洋平氏の発達理論で言うところの「機能レベル」のことです。
調べれば出てくるので、詳しい解説は別記事にて書こうと思います。
この「できそうでギリギリできない」領域に目標を設定することが大切になります。
成功体験を増やす
スモールステップを増やすことで、自ずと成功体験も増えます。
しかし、細かすぎるステップもあまり良くありません。
「できそうでギリギリできない」ステップを考えることが大切です。
例えば、「跳び箱3段が跳べるようになる」という目標がある場合。
1,うさぎさんができる
2,かえるさんができる
3,跳び箱へカンガルージャンプ乗り
4,パワージャンプ
5,跳び箱3段
上記ようなスモールステップを考えます。
(あくまで一例です。子どもの状況によっては「色別ウシガエル」を間に挟んだりすることも考えられます。)
3番か4番の”カンガルージャンプ乗り”等から始められることは容易に考えられます。
しかし、それができない場合、何度もそれを繰り返すことで上手にはなっていきますが、それだけ失敗も多くなってしまいます。
そこで大事になるのが、1番2番のようなスモールステップです。
上記のようなステップを踏んでいくことで、簡単なレベルから「できる」体験を増やし、そのまま徐々に跳び箱が跳べるようになっていきます。
基礎の基礎を考える
運動ができる人にとって考えづらいのがこのような「基礎の基礎」ステップです。
外で走り回って転がったりしながら育った人は自然にこれらが身についているので、どのようにその力が発達していったのかが解らないことがあります。
そうすると「なんでできないの?」となり、できないことにイライラしてしまうことがあります。
そんなときにはその運動の基礎の基礎を考えることでスモールステップを考えやすくなるかと思います。
上記の例はあくまでも一例で、それだけが正解ということでなく、子どもの状況によってはステップをもっと少なくしたり、多くしたりすることも考えられます。
ご参考になれば幸いです。